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20194月に天皇陛下の生前退位が決定されたため、長く天皇陛下と共に歩んできた皇后様もこれまでの皇后としての働きを終えられます。

現在の皇太子さまが天皇陛下となり、皇后様は雅子さまが引き継がれることになります。

そんな皇后美智子さまは、これまでも節目にご自身のお言葉を発しておられます。

美智子さまは、退位後にはたまっている本を少しずつ読んでいきたいと述べておられます。 

美智子さまが、大切にしている本の名前や絵本について紹介

 

美智子さまが、幼いころに強い影響を受けたと語られた絵本があります。

皇室でもずっと長い間、教育のために読まれている絵本ということなので、美智子さまだけではなく佳子さまや眞子さまも幼い頃に読んでいたはずです。

 

美智子さまが、ニューデリーで開かれたIBBYニューデリー大会で語られた講演の中では「でんでんむしのかなしみ」という絵本について触れられています。

幼い美智子さまは、この「でんでんむしのかなしみ」という絵本から、多くの影響を受けておられたようです。

かなり幼いころに読み聞かせてもらったという事なので、絵本の内容を完全に理解できたわけではなかったようですが、この絵本の話の中から幼いながら大切な教訓を得ておられたようです。

 

この時の講演の中で、美智子さまはこのように語っておられます。

 

まだ小さな子供であった時に,一匹のでんでん虫の話を聞かせてもらったことがありました。不確かな記憶ですので,今,恐らくはそのお話の元はこれではないかと思われる,新美南吉の「でんでんむしのかなしみ」にそってお話いたします。そのでんでん虫は,ある日突然,自分の背中の殻に,悲しみが一杯つまっていることに気付き,友達を訪(たず)ね,もう生きていけないのではないか,と自分の背負っている不幸を話します。友達のでんでん虫は,それはあなただけではない,私の背中の殻にも,悲しみは一杯つまっている,と答えます。小さなでんでん虫は,別の友達,又別の友達と訪ねて行き,同じことを話すのですが,どの友達からも返って来る答は同じでした。そして,でんでん虫はやっと,悲しみは誰でも持っているのだ,ということに気付きます。自分だけではないのだ。私は,私の悲しみをこらえていかなければならない。この話は,このでんでん虫が,もうなげくのをやめたところで終っています。

あの頃,私は幾つくらいだったのでしょう。母や,母の父である祖父,叔父や叔母たちが本を読んだりお話をしてくれたのは,私が小学校の2年くらいまででしたから,4歳から7歳くらいまでの間であったと思います。その頃,私はまだ大きな悲しみというものを知りませんでした。だからでしょう。最後になげくのをやめた,と知った時,簡単にああよかった,と思いました。それだけのことで,特にこのことにつき,じっと思いをめぐらせたということでもなかったのです。

しかし,この話は,その後何度となく,思いがけない時に私の記憶に甦って来ました。殻一杯になる程の悲しみということと,ある日突然そのことに気付き,もう生きていけないと思ったでんでん虫の不安とが,私の記憶に刻みこまれていたのでしょう。少し大きくなると,はじめて聞いた時のように,「ああよかった」だけでは済まされなくなりました。生きていくということは,楽なことではないのだという,何とはない不安を感じることもありました。それでも,私は,この話が決して嫌いではありませんでした。

 

この絵本に登場するでんでんむしの殻の中には、でんでん虫が溜め込んでいたたくさんの悲しみが詰まっていたようです。

私達の誰もが、それぞれの環境や人生の中で悲しみを感じ、心に溜め込んでいます。

美智子さまの人生も同じ、もしくは役割を考えるとさらに多くの悲しみを感じてきたはずです。

その悲しみは、きっと一般に生きているわたしたちには分からないものもあるでしょう。

特に、美智子さまは一般人として皇室に入られた最初の方であったため、多くの悲しみを感じてきたはずです。

 

天皇陛下も、その美智子さまの苦労を公式のコメントの中で労っておられました。

美智子さまは、ご自身の人生の中で、でんでんむしのかなしみという絵本が、何度も記憶の中によみがえってきたと語っておられます。

絵本のポイントはなんでしょうか?

絵本の中で、でんでんむしは最後に、殻の中に満ちていた悲しみを嘆くのを止めるようになります。

つまり人生には悲しみがつきものであり、時にはもう生きていけないと感じることあります。

ちょうど絵本のでんでん虫が感じた気持ちと同じです。

 

美智子さまも同じように感じたことが何度もあったのでしょう。

そのたびに、悲しみを忘れるように努力され、これまで皇后という大役を50年以上にわたって果たしてこられたわけです。

人生の辛さ、悲しみ、苦しさと伝える絵本であるものの、その苦難に対処するための秘訣を子供に教えてくれる素敵な絵本です。

 

 

 

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