秋篠宮さまと言えば、皇族には珍しい「自由な発言」が特徴です。
そんな秋篠宮さまが、「大嘗祭(だいじょうさい、おおにえのまつり)」について、異議を述べられました。
その発言と、秋篠宮邸の改装工事費用について矛盾を感じた方が多いようなので、解説します。
大嘗祭についての秋篠宮さまの発言
まず整理しておきたい点は、大嘗祭の意義(本義)です。
大嘗祭は、稲作農業を中心とした我が国の社会に古くから伝承されてきた収穫儀礼 に根ざしたものであり、天皇が即位の後、初めて、大嘗宮において、新穀を皇祖及び 天神地祇にお供えになって、みずからお召し上がりになり、皇祖及び天神地祇に対し 安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに、国家・国民のために安寧と五穀豊穣など を祈念される儀式である。それは 皇位の継承が 、 、 あったときは 必ず挙行すべきものと され 皇室の長い伝統を受け継いだ。 皇位継承に伴う一世に一度の重要な儀式である
引用:平成元年12月21日 閣議口頭了解 ( 即位の礼 ・大嘗祭の挙行等について)
簡単に説明すると、
- 天皇の皇位継承の際に行われる儀式
- 天皇が皇祖や天神地祇に対して、五穀豊穣や安寧を感謝し、祈祷する儀式
上記のような意義があります。
大嘗祭の歴史は、古事記や日本書紀、万葉集でも触れられているように、少なくとも古事記が編纂された西暦712年には実施されていたことになります。
歴代の天皇の中で、大嘗祭を行なわなかった例もありますが、費用を捻出できなかった、治安が安定していなかったなど、特別な事情があった時のみのことです。
つまり歴代天皇が崩御された時には、かならず大嘗祭が行なわれてきたということです。
1990年に行なわれた大嘗祭の計画です。
では大嘗祭を行うために、どれくらいの費用が必要になるのでしょうか?
大嘗祭(皇室行事)の費用とは?
前回の大嘗祭は、1990年(平成2年)に執り行われており、当時の予算は22億4,900万円とされています。
この費用は公費である宮廷費から全額支出されています。
この費用の中で、最も高額になるのは、大嘗祭のために建設される「大嘗宮」です。
大嘗祭を実施するための場所を、皇居・東御苑に建設しなければならず、その予算は14億5,000万円(1990年)でした。
2019年に執り行われる大嘗祭の予算は27億1,900万円であり、大嘗宮の設営費用は19億円まで増額されました。
大嘗宮の予算は、大嘗祭の70%ほどを占めているため、かなりの金額になります。
1990年大嘗祭費用内訳
大嘗祭全体費用:22億4,900万円
大嘗宮設営:14億5,000万円
2019年大嘗祭費用内訳
大嘗祭全体費用:27億1,900万円
大嘗宮設営:19億円
現在は、大嘗祭に関係する費用のすべてを公費で賄うとしています。
この大嘗宮について秋篠宮さまは、意義を唱えられています。
具体的に、秋篠宮さまの発言の内容を見てみましょう。
大嘗祭(大嘗宮建設)についての秋篠宮さまの発言
秋篠宮さまの【大嘗祭】に関する意見には次のようなポイントがあります。
- 大嘗祭は宗教色が強く政教分離に反するため、公費の支出は問題があるのでは?
- 大嘗宮を建設せず「神嘉殿」を利用し、残りの経費を天皇家の私費で賄う
確かに【大嘗祭】は、かなり費用のかかるもので、2019年は27億円以上です。
もし秋篠宮さまの仰るように、「神嘉殿」を利用するなら、残りの費用は7億円ほどになります。
公費は一切使われず、天皇家の私的な積立金数億円でカバーすることになります。
確かに、秋篠宮さまの仰るようにするなら、大量の公的資金を投入する必要はないかもしれませんね。
かなり費用を節約できるので、道理にかなった考え方かもしれませんね。
しかし、ここでは秋篠宮さまの発言の是非については解説しません。
秋篠宮さまの発言は、20億円の節約ということになるため、公費の節約という面では、大きな話です。
しかし、それと同時に秋篠宮家では、公費を使用した巨大プロジェクトが行なわれます。
このプロジェクトと大嘗祭での発言に整合性が取れないと問題になっているわけです。
秋篠宮さまの大嘗祭発言と秋篠宮邸の改装工事費用に見られる矛盾
大嘗祭にて、大嘗宮を建設せずに「神嘉殿」を利用すれば20億円は節約ができます。
これは紛れもない事実であり、秋篠宮さまが経費削減を考えておられることが推察できます。
多くの宮内庁関係者も、そのように感じたようです。
しかし、その一方で「節約を一切考えていない」と感じるような出来事もあるようです。
それが、秋篠宮邸の改装費用です。下記が秋篠宮邸の写真です。
皇太子さまが即位すると、秋篠宮さまは皇位継承順位第一位(皇嗣家)となります。
続く皇位継承者は、秋篠宮家の長男である「悠仁親王」であるため、秋篠宮家には皇位継承者が2人いることになります。
第1皇位継承権のある皇嗣家という立場へと変化され、秋篠宮家の皇族費は6,710万円から1億2,810万円まで倍増されます。
同時に、皇嗣家になったことで、これまでの秋篠宮家と宮邸北側にある赤坂東邸を一体的に利用するための増改築を行う予定になっています。
すでに2019年度予算の中で、2億3,000万円が計上され、3年間で公費33億円が増改築のために利用されることになっています。
大嘗祭での20億円の節約について語った秋篠宮さまが、自身の住まいについて使用する33億円もの公費(宮廷費)についてなにも発言されないことに疑問の声が上がるのも当然かもしれませんね。
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