2019年5月1日から令和という新元号になりますが、書類への記入の際、「令和元年」と「令和1年」のどっちが正しいのか迷うかもしれません。
弁護士の方の説明がありましたので、参考にできると思います。
新しい元号が始まると戸惑うことも多いですよね。
「令和元年」が契約書への正確な記入方法
正式な書類への記入方法としては、「令和元年」という記載が正しいとされています。
これまでの歴史的な重要な書類において、元号が変わった時は「元年」という記載をしています。
例えば「日本書紀」という日本の歴史上非常に重要な文献には、「大化元年を為す」と、孝徳天皇紀には記載されています。
この日本書紀以外にも、多くの文献で「○○元年」という書き方がされているため、やはり書類を作成する時は、「令和元年」という記入方法が良いでしょう。
新しい元号では「昭和」「平成」という元号がありますが、この時もやはり「元年」という記入方法が採用されていました。
では、元年という書き方は、法律によって定められているのでしょうか?
令和「元年」は法律上の正確な記載方法というわけではない
元号の最初の年は、元年という書き方が正しいものという考え方は、法律上の根拠があるのでしょうか?
元号に関する法律としては、「元号法」というものが関係してきます。
この「元号法」の内容は、たったの2項しかありません。その中でもっとも元年という部分に関係するのは。第1項になるでしょう。
1項「元号は、政令で定める」
では、昭和から平成に変わった時、政府がどのように政令によって新しい元号を定めたのでしょうか?
「内閣は、元号法(昭和五十四年法律第四十三号)第一項の規定に基づき、この政令を制定する。元号を平成に改める」
この政令の中では、初年度を「元年」をするとは明確に記載されているわけではありません。
よって「令和元年」を記載しなければならない法律的な要求はないということになります。
つまり「元年」という記載方法は、慣習として受け継がれてきているものと判断できるでしょう。
ではなぜ「元年」の方が正式なものとして考えられているのでしょうか?
政府関係や正式な書類の中では、役所に対して次のような通達が行われているからと言えるでしょう。
法務省から役所に対する通達では「元年」を使用する要求
昭和から平成に元号が変わる時、役所に対して法務省からの通達がありました。
その内容は次のようなものです。
「政令施行の日以後に取り扱う各種事務において用いる元号は、『平成』を用いる。なお、初年は、『平成元年』とする」
つまり、役所などの正式な書類を作成する時は、最初の年を「元年」とするようにという指示があったということになるでしょう。
さらに2019年5月1日以降の、国会の予算案に関する記載の中では、初年度を「令和元年」をするように、このような文書が出されています。
ですから、やはり政府関係や戸籍などの書類に関しては、「令和元年」の方が良いということになります。
契約書に令和1年と記載したら無効なの?
では個人間や会社間での契約書などに、「令和1年」を記載したら、契約書自体が無効になってしまうのでしょうか?
そのような事はありません。
虎ノ門法律経済事務所池袋支店の齋藤健博弁護士は、次のように説明していました。
齋藤健博弁護士は「『令和元年』と『令和1年』のどちらでも効力は変わりません」と話す。「契約書というのは、当事者間の合意が形成されたことを立証するための証拠であって、これらが偽造などではなく、正当に成立したことを示せれば良いのです。支払い請求だとか、保証契約の成立などの証拠に使う文書にすぎません」
つまり契約書などの書類であれば、仮に令和1年と記載したとしても、有効であるという事です。あくまで目的は契約の成立を証明するためであり、元号の記載方法の是非を問うものではないという事ですね。
ですから契約書では「令和1年」でも良いですが、やはり正式な「令和元年」の方が良いということになるでしょう。