ネット上には、違法にアップロードされている映画、動画、アニメ、漫画、写真が数多くあります。
こうした知的財産権を無視する行為は、すでに違法行為とされています。
「漫画村」というサイトが、「違法アップロード」によってサイトを閉鎖したのは、非常に有名な話です。
今回議論されているのは、こうした画像や写真など、「すべての作品」をダウンロードする行為が違法かどうかという事になります。
ネット年映画やドラマ、アニメなどの動画、漫画やコミックなどをダウンロードする行為が違法になるのか、処罰(罰則)の内容について解説します。
ネット上に違法に載せられている作品をダウンロードするのは違法か?
まず動画や音楽のダウンロードについて、法律を見てみましょう。
平成21年
まず確認しておきたいことですが、違法にインターネット配信されている事を知りながら、音楽や映像(動画)をダウンロード(録音や録画)することは刑事罰はないものの違法であるとされています。(平成21年著作権法改正)
平成24年
続いて平成24年10月1日に違法ダウンロードの刑事罰化を内容とした修正案が通常国会にて可決されました。
違法にインターネット配信されている事実を知りながら、録画録音を行い、著作権又は著作隣接権を侵害した者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金となり、もしくはこれを併科する(平成24年10月)
この2点については、すでに文化庁(現在は文化省)によって発表されているので、ご存知の方もいるでしょう。
平成21年の段階では、刑事罰は含まれていなかったものの、平成24年の修正案によって刑事罰化されたことになります。
間違いのないため、文化庁(現:文化省)が発表した内容を引用しておきます。
平成24年通常国会での著作権法一部改正案の審議の過程において、いわゆる「違法ダウン ロードの刑事罰化」を内容とする修正案が提出され、6 月に可決、成立しました。 具体的には、私的使用の目的であっても、有償著作物等の場合には、著作権又 は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又 は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害(問Q5 参照)した者は、2 年以下の懲役若しくは 200 万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すること とされています(平成 24 年 10 月 1 日施行)。 (※)平成 21 年の著作権法改正により、私的使用の目的であっても、違法にインターネット配信されていることを知りながら、 音楽や映像をダウンロード(録音又は録画)することは、刑罰はないものの違法となっています。 なお、この刑事罰の規定は親告罪とされており、権利者からの告訴がなければ公訴を提起できないこととなっております。
この法律の中で、有償著作物と記載されていますが、どのような意味になるのでしょうか?
有償著作物とは
文化省の説明によると、以下のように説明されています。
有償著作物等とは、録音され、又は録画された著作物又は実演等であって、有償で公衆に 提供され、又は提示されているものを指します。
引用:文化省(PDF)
この説明からすれば、ドラマやTV番組が有料でインターネット配信(動画配信サービス)されていれば、有償著作物に含まれるということになります。
ですからこうした作品を、違法にアップロードされている事を知っていながらインターネット上からダウンロードすれば、刑事罰(2 年以下の懲役若しくは 200 万円以下の罰金)の対象となるわけです。
漫画やコミックについての文化省の見解
例えば、市販の漫画本を撮影した動画が、刑事罰の対象に当たるのではないかとの問い合わせがありますが、漫画作品自体が録音・録画された状態で提供されているものではありませんので、有償著作物等には当たりません。
引用:文化省(PDF)
この点については、近年変化してきていると言えます。
例えば、最近の動画配信サービスの中には、コミックの形式のまま動画として配信されている作品もあります。
動画配信サービスの中に、動画形式のコミック(漫画)があれば、違法にアップロードされたと知りながら、こうした作品をダウンロードすると、映像や音楽と同じように刑事罰の対象となるでしょう。
では、動画形式になっていないものについては、ダウンロードしても問題がないという事になるのでしょうか?
現在(2019年1月現在)、結論から言えば違法性があるとして刑事罰にはできないという事になります。
そのため、現在「文化審議会著作権分科会の法制・基本問題小委員会」によって、刑事罰の範囲をもっと広げるべきではないのかということが論議されています。
写真や論文、漫画などのスクショやコピーは違法になるのか?
ここが気になるところかもしれません。
現在、文化審議会著作権分科会の法制・基本問題小委員会によって審議されている内容が、法律化されると、どのような変化が起きるのでしょうか?
現在、協議されている内容が、そのまま法律化されると、ネット上に違法にアップロードされている画像、論文を撮影したり、スクリーンショットして保存することも違法となります。
つまり違法にアップロードされてたものを、情報として撮影したとしても刑事罰の対象となってしまうという意味です。(現在まだ施行されていない)
追加情報:この法律は2020年より施行されることが決定しています!
こうなると適用範囲が一気に広がってしまい、日常生活の中で行なっていた行為のほとんどが違法になってしまいます。
この点をどのようにするのか、現在のところ結論は出ていない状態です。
引き続き、今後の推移を見守る必要があるでしょう。
まとめ
今回は、違法にネット上に載せられている動画や映像、音楽を違法と知りながらダウンロードするなら、刑事罰の伴う違法行為であることを説明しました。
ちなみにアップロードは、完全な違法行為になるので、違法にネット上にアップロードするのは止めましょう。
法律を記載しておきます。
著作権法
第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。引用:弁護士ドットコム