海外への投資を検討している方であれば、中国よりもリスクの低い「香港」も候補に入れられるでしょう。
香港は、特別行政区であるため、中国投資の中継地として利用できるメリットもあり、注目の的になっています。
この記事では香港への投資に関して次の分野について解説していきます。
- 株式投資
- 事業投資
- 社債投資
- 不動産投資
- 為替投資
香港経由で中国への株式投資を行える
中国の経済成長に注目し、中国への投資を検討するのは決して間違っていることではありません。
しかし中国本土への投資の場合、中国政府の政策があるため、投資による利益を国外に持ち出すのは非常に難しいのが現実です。
もちろん政策が変更され、利益を海外に持ち出せるようになる可能性がないわけではありませんが、国内に生じている経済格差の問題が是正されないうちは難しいと言えるでしょう。
ですから中国への投資を行うのであれば、香港経由で行なうことを検討するのは良い方法です。香港はイギリスから中国へ変換されたものの、自由貿易を行える特別行政区に指定されているため、香港で得た利益は国外に持ち出すことができます。
加えて香港には、中国国内への株式投資が可能となる制度が存在しており、これにより香港を経由して中国への株式投資が可能となっています。
香港の株式市場には、香港の企業が株式上場しているだけではなく、中国企業も資金獲得のために上場をしています。
このように中国本土で登記登録をしている企業が、香港証券取引所に上場して株式を発行している銘柄をH株と呼んでいます。
つまり中国本土で株式口座を作らなくても、香港の株式口座のみで中国企業の株(H株)を購入できるという事です。
中国国内に登記している企業のすべてが香港証券取引所に上場しているわけではありませんが、H株は中国国内の情勢に関わらず資産を第三国に持ち出せる点で大きなメリットがあります。しかしながら株式投資は、急騰する可能性と共に暴落する可能性も存在している事を忘れないようにしましょう。
株式投資の一種であるETFや投資信託を香港で行うこともできます。
投資信託を行う場合、HSBC香港や香港にある証券会社で売買を行うことが可能です。
ETFも同様に香港の証券会社で売買を行うことができますが、日本の証券会社が香港証券取引所に上場している企業のETFを取り扱っているので、SBI証券や楽天証券を利用して香港のETFを売買することもできます。
中国の株式投資に興味がある場合は、香港経由での投資を検討してみると良いでしょう。
事業投資を香港で行う場合
投資方法として、事業投資を検討している方もおられるでしょう。
その場合の香港の魅力はどうでしょうか?
香港の法人税は非常に低いため、ホフショア法人であれ、ホールディング会社であれ、香港に設立することには大きなメリットがあります。
また日本からだけではなく、世界中の企業が香港に法人を設立しており、東南アジアでのビジネス展開の拠点としています。つまり香港には事業投資をするための土台が整っていることになるでしょう。
そのため法人設立後に、何度も香港に行かなくても法人を維持していくことも可能です。
ですから事業投資先としても、香港は非常に魅力的な場所であると言えるでしょう。
しかし日本と香港は租税条約を締結しているため、香港で支払う税金に関する情報はすべて日本の国税局に届けられることになります。
二重課税を防ぐことができますが、その分すべての資産や利益に関する情報が日本に届くため、保有資産の価値に変動が起き利益が発生する場合は、日本での納税が必要になる場合もあります。
香港に会社を設立したとしても、状況によっては日本での納税義務が生じることもあるので注意しましょう。
香港特別行政区での社債への投資
香港の証券会社や香港HSBCと通じて、香港政府や香港企業の社債を購入することが可能です。また香港の証券会社だけではなく、日本のネット証券会社でも香港企業の社債や香港政府の債権の取扱をしているため、社債は手軽な投資先として選択肢に入ってくるでしょう。
香港企業の社債については、基本的に会社が倒産さえしなければ、満期まで所有しておけば損をする可能性は低い金融商品と言えるでしょう。
特に安定しているのは、香港政府の社債や香港の銀行の社債やCDという金融商品です。
CDとは、譲渡性預金証書の省略であり、簡単に言えば定期預金証書ということになります。
現在の日本で定期預金を作ったとしても、金利が低すぎるため資産を増やすことは難しいでしょう。しかし香港では銀行による定期預金の争奪戦が起きているため、金利が数%になることもあります。
香港の銀行の債権やCDであれば、銀行倒産のリスクは限りなく低いため投資先として安定していると言えるでしょう。
香港への不動産投資
香港の不動産価値は、すでに非常に高値がついており、今後不動産価値が劇的に上昇することはほとんどないはずです。
アジアで不動産投資をするのであれば、香港を除くアジア各国の不動産の方が、価値の上昇が今でも望めると言えるでしょう。
土地によっては、今後も不動産価値が上昇する余地は残っているとはいえ、価値が飽和状態にある香港は不動産投資先としては相応しいとは言えません。
香港での為替投資
香港の基本通貨は香港ドルであり、近年はアメリカドルと連動して動く、つまりアメリカドルペッグとなっています。
つまり香港ドルでの為替取引を行うことは、アメリカドルを取引するのとほとんど同じ動きになるため、わざわざ香港ドルで取引を行う意味がないかもしれません。
気になる点としては、今後香港ドルが米ドルペッグから、中国の通貨である人民元ペッグになる可能性があるという点です。
とはいえ、この話はこれまで長期間に渡って起きてきた議論であり、いつ実施されるのか検討しながら為替投資を検討するのは難しいでしょう。
また為替取引の場合、両国の利息差を考慮に入れる必要がありますが、香港との金利差は、アジアの中で最もレートが良いわけではありません。
例えば、カンボジアで米ドル取引をした方が利息差からの利益を受けられる可能性は高いでしょう。
ですから香港ドルによる為替取引を行うのであれば、カンボジアを含めてアジア各国の利息を検討してから決める必要があります。