羽生善治竜王が、平成最後の年に竜王戦に破れ、無冠になった。
今後の呼び方を【元竜王】と呼ぶのか【九段】と呼ぶのか難しいところ。そもそも将棋の世界では九段以上の段位があるのか?
九段になるためにはどんな条件があるのか解説します。
将棋の最高段位は何段なの?
羽生善治さんを呼ぶ時には、いつも何らかの称号が付いていたような気がする。
それでもそのはずで、羽生善治さんは、これまで27年間に渡って、何らかのタイトルを保持しており、そのタイトルを使った称号が名前に付いていた。
将棋のタイトルについては、後述するとして、まずは将棋の段位について解説しましょう。
結論から言うと、将棋の最高段位は【九段】という事になります。
そして将棋の世界では、一度昇段した場合、どのような成績であっても段が下がることはありません。
つまり、一度九段になった棋士であれば、その後も成績にかかわらず【九段】のままということです。
羽生善治元竜王は、今回の竜王戦以前(1994年4月1日)にすでに【九段】に昇段していますので、竜王でなくなったとしても羽生善治九段という称号になるでしょう。
今後、羽生善治九段がどのような戦績となっても、九段より下がることはありませんし、逆に十段になったりすることはありません。
棋士が九段になるための条件とは?
2017年・2018年と藤井聡太七段について話題になることが多くありました。
中学生棋士が、どんどんと昇段していく姿を見て、大いに励まされた方もいたことでしょう。
最初に言っておくと、これほど早く七段まで昇段するような棋士はほとんどいませんので、藤井聡太七段(2018年12月時点)がどれほど優れているのか分かります。
しかし、藤井聡太七段でも簡単に九段になることはできません。
ではどのような条件が必要になるのでしょうか?
九段になる前に八段になっている、まずはこれが最低条件になります。
七段の棋士が飛び級で九段になることはありません。
八段の棋士が以下の条件のどれかを満たした場合、九段に昇段することが規定されています。
- 名人位1期獲得
- 竜王位2期獲得
- タイトル3期獲得
- 八段昇段後公式戦250戦勝利
- 九段昇格規定30点(計算方法は下記)
(タイトル獲得期数 × 3)+タイトル挑戦回数+一般棋戦優勝回数+A級以上在籍年数
八段の棋士が、九段に昇段するためには上記のどれかを満たしていなければなりません。
例えば、今回第31期竜王戦で羽生善治竜王に勝利した【広瀬章人】棋士は、現在八段です。
羽生善治竜王に勝利することで、竜王1期獲得したという事になります。
広瀬章人新竜王は、以前にタイトルの1つ「王位」を持っていましたが、平成23年にタイトルを失っていました。
当時「王位」のタイトルを3期獲得できなかったため、広瀬章人新竜王は八段のままだったわけです。
羽生善治九段を破った【広瀬章人新竜王】が九段になるためには、第32期竜王戦(2019年の竜王戦)以降に、もう一度竜王を獲得(もしくはタイトル保持)する必要があります。
その段階で、広瀬章人新竜王は、2番目の条件を満たして、正式に【九段】へと昇段するわけですね。
なかなか将棋の世界も複雑になっています。
ちょっと気になったのは、将棋の世界では昇段した後、どんなに成績が悪かったとしても、段が下がることはないという点です。
記憶に新しい、藤井聡太棋士と加藤一二三九段の対局もそうでした。
加藤一二三九段は、1973年11月3日に、タイトル獲得期数 × 3 + タイトル挑戦回数 + 一般棋戦優勝回数 + A級以上在籍年数という九段昇格規定30点の条件で【九段】に昇格していました。
しかし藤井聡太棋士と対戦した時には、明らかに実力が落ちていたにもかかわらず【九段】のままでした。
もちろん将棋界にも都合がありますし、教える立場になっている棋士の段を落としてしまうなら、その後の人生にも大きな影響を与えることになります。
しかし段位は、実力を図る1つの方法であるため、やはり対戦成績が落ちてきているなら、それに合わせた称号とする必要があるでしょう。
将棋のタイトルの種類にはどんなものがあるのか?
将棋のタイトルは、全部で8種類あります。
8つのタイトルは以下のようになります。
- 名人
- 竜王
- 叡王
- 王位
- 王座
- 棋王
- 王将
- 棋聖
この8つのタイトルの中で、別格になるのは【名人】【竜王】です。
棋士が獲得できるタイトルの中で、最も高いタイトルは【名人】です。
その証拠として、名人位は1期で九段へと昇格できるようになっています。
将棋の最高位【九段】のまとめ
今回は、将棋の世界における最高段位について解説しました。
やっぱり普段接する機会が少ない将棋の世界なので、まだまだ知らないことがたくさんあります。
九段になる事がどれほど難しいのか、今回無冠となってしまった羽生善治九段がどれほどすごいのか、こうした事を確認できたのは収穫でしたね。